潤い
皮膚に行くはずだった
潤いが
心にだけ溜まっていく
今日も
乾いた指先が
湯飲みを割ってしまい
頼まれた
佃煮のビンの蓋を
開けられないでいる
カサついた顔で
草取りする畑では
ミミズが
有機物から土を作って
潤いの準備をしている
我が家では
小さい家族が一人増える
準備が整い
心に溜まった潤いが
たぶん
今年の僕を
涙もろくするはずだ
田んぼの一年へ